2015年11月11日水曜日

魚の手づかみ


毎年秋になると上賀茂神社で写生会があった、私は絵心が全くないので、絵とはいえないようなものをとにかく早く書き終えて先生に出し、逃げるように加茂川に一目さん。

水がやや冷たく感じられる頃だが、腕まくりをし、ズボンを託しあげて、石の多い瀬に立ち込み、石の下に両手をそっと差し込んで探る。

魚がいると指先の感触でわかるので逃がさないように掴み取る。両手に一匹ずつの時も少なからずあった。

魚はほとんどがハヤでアブラハヤなども少し混じった、獲物はもちろん夕食のおかず。
加茂川には現在でも意外にたくさんの魚がいる。しかし、昔はもっと多かったのだろう。

今でもやればきっととれると思うのだが、そんなことをしている子供を見たことがない、ましてや年寄りは残念ながらいない。




   以上で「川の魚」のブログは終了です。
   続いて「雑草」のブログを始めます。「川の魚」は40種余り   
   でしたが、「雑草」は200種余りあります。ぜひ御笑覧下さい。



ワタカ


草を食う魚として、ソウギョと共に有名だが、もちろん水草以外のミミズやダンゴも食べる。昔は琵琶湖はもとより大阪の樟葉や周辺の用水路などあちこちで釣れた。

普通は1520センチ程度だが、大物は利根川の佐原で経験した。佐原は潮の干満の影響を受けるところだが、いろいろな魚がいた。河が大きいので魚も概して大きいのが多かった。ここのワタカは京都近辺では見たことがない40センチほどの大きさで、まったりと太っていた。しかし、残念なことに旨くない。肉に締まりがなく、小骨が多い。小さいのは他の魚と一緒にしてしまえば問題はないが、大きいのは食べられはするが、おすすめの魚ではない。


 

 

ライギョ


私の最も好きな魚で、今も庭で飼っている。平成17625日池に落ちていたビニル袋の中に入ってしまってもがいているのを拾って帰ったのだが、そのとき15センチだったものが10年たった今40センチ強になって元気にしている。自然の池であれば1メートルくらいになっているであろうと思うと申し訳ない気はするのだが、さりとて、逃がすのは惜しいというのが正直な心境。

ライギョは時折口先を出して空気呼吸をする。しばしば水面の水草の間でポカンと浮いていることが多い。

我が家のライギョは、魚肉はもとより牛肉、豚肉、鶏肉と何でも食べる。とりわけ蛙が大の好物、腹がへっていると棒の先の洗濯鋏にはさんだ蛙に、ガバッと跳び上がって食いつく。

かつて大阪の樟葉は今のような都会ではなく、浅い小さい沼がたくさんあって、そこへライギョ釣りによく行った。タコ糸に大きな鈎を結び蛙や鮒をかけて何組か岸辺に沈めておき、時々見回って、糸が張っていればライギョがかかっている。

こんなことがあった、仕掛けたあたりでガバガバと大きな音がするので見に行くと、かかったライギョに別のライギョが食いついたのだ。食いつかれたライギョの横腹には大穴があいていた、共食いをするのだ。成魚が仔魚を食うのはよくあることだが、同種の成魚同士が共食いするのはそう多くあることではない。

学生時代、学園祭でライギョを唐揚げにして串にさしたのを売ったらよく売れた。生は寄生虫が怖いが、ピンクがかったきれいな身をしている。

ライギョの親は見かけによらず子煩悩で、深泥が池で、大きなライギョがたくさんの子を連れて泳いでいるのを時々見た。小さい子はしばしば水面で呼吸をするので、この集団がくると水面がブクブクと一面に泡立ちすぐにわかる。45センチの子は赤褐色でチョロチョロと泳ぎ、これでは外来魚に食われてしまうのはもっともだと思う、親は強くても小さい子は弱いのだ。ライギョも今や数少ない魚となってしまった。

 

 

2015年11月8日日曜日

チチブ


数センチ程度とヨシノボリと同じくらいの大きさだが、こちらの方がやや太っているように思う。色は黒っぽく美しいとは言えない。由良川河口でハゼ釣りをしていると時折かかってくる、石川県の手取川河口にもたくさんいた。京都桂川の吉富にもいる。どこにでもいるようだが、以外に本名では呼ばれていない、ハゼの仲間は皆ハゼとかゴリで片付けられてしまう。小さいが煮付けるとなかなか旨い。

ヨシノボリ


昔は加茂川にたくさんおり、ゴリとよんでいた。小学生の頃、割り箸の先に縫い針を4本くくりつけて、これでゴリを突いてたくさん捕り、夕食のおかずに食べたが、小さいけれどこれがなかなか旨い。

夏の繁殖期になると雄は鰭に色がついて美しくなるので水槽で飼った。ひょうきんな顔をしており、なかなかかわいい。縄張り意識が強く、口を大きく開けて互いに威嚇しあい、大きい方が石の下の一等地を占領する。水槽で飼うのは難しくはない。

しかし、川の水質には敏感なようで、石に家庭排水の水垢がついているような所にはいない。

 


2015年11月4日水曜日

メダカ


メダカが絶滅危惧種になったとは本当に驚きだ。確かに以前たくさんいた池や川に今はほとんど全く見あたらない。姿が見られるのは、メダカを大切にしている神社・仏閣の池、外来魚の心配のない細流、山の田の溝などに限られてしまった。メダカの減少は、農薬や都市化の影響ばかりではなく、ブルーギルやブラックバスがいたるところで見られるようになってしまったことの方がより大きな原因なのではないかと私は思っている。水面をすいすいと群れて泳いでいるメダカは、これら外来魚にとっては見過ごすことのできない好餌なのだ。

幸いメダカは小さな容器で簡単に飼え、専用の餌も売っているので、増殖は極めて簡単だ。私も今、何とかたくさん増やそうとがんばっている。増殖のための必須要件は、光と水草だ、光が当たれば水草は成長し、幼魚の隠れ場となり親に食われてしまうことも少ない。玄関など光不足の屋内で増殖させるのはなかなか難しいのではないか。

モツゴ


子供の頃はクチボソといっていた。モツゴではピンとこない、やはりクチボソだ。モツゴは「持つ子」で、何か生態的な意味があるのだろうが、クチボソは、口の小さい体を表すストレートでわかり易い名だ。モツゴもすっかり姿を消してしまった魚の一つである。流れの強いところにはおらず、ほとんどは池や沼の止水域にいる。口が小さいので小鈎に赤虫で釣った。梅酒を漬ける瓶を机の上に置いて飼ったことがある。電灯に集まるウンカやパンクズなどをやるとプチップチッと音を出しながら食べる、それが面白かった、勉強よりはるかに面白かった。さすがにモロコの仲間だ、食べるとなかなか旨い。

2015年11月1日日曜日

ムギツク


体はせいぜい15センチ程度、胴は太く丸太状、黒い縦腺が入っており、なんとなく飼いたくなるような独特の美しさのある魚だ。桂川の吉富あたりでよく釣れる。何でも食うようだがミミズは好物のようだ、口が小さいので鈎は小さいのがよい。

急流にはおらず大きな石の多いゆっくりした川を好むようだ。水槽で飼ったとき、植木鉢を横向きに入れておいたら、その陰に隠れてなかなか出てこない、臆病なのか神経質なのか、餌を食うようになるのにかなり日数がかかった。焼いても煮ても食べるとなかなか旨い。

ホンモロコ


今や幻の高級魚となった。中学生の頃、浜大津の突堤でアカムシを餌にして杭周りをねらうとよく釣れ、春にはホンモロコ狙いの釣り人がかなりいた。
1213センチほどでモロコの仲間としては大きく、それに食べると旨い、モロコの仲間は皆旨いがこの魚は特に旨い。しかも大きい。琵琶湖の特産種だと思っていたが、かなり以前から関東地方などでも見られるようになっているそうだ。生態系に悪影響を及ぼす魚とも思えないので、数としても分布域としても更に広がってもらいたいものだ。